防せい(錆)油 その2

前回、防せい(錆)油についてお話しましたが、今回は防せい(錆)油の仕組みについてもう少し細かくお話したいと思います。

※以下防せい油とする。

 金属のさびまたは腐食の主な理由は「水分・酸素」と「汚染物質」であることは前回お話しました。

さびや腐食を止めるには、これらの腐食因子を除去するか、または影響がないようにするため、被膜などで遮断すればよいというお話をしたと思います。

 

では、実際にどのような方法があるのでしょうか?

今回はその方法についてお話したいと思います。

 まず、さびまたは腐食を止めるために、さまざま方法で防止することを「防せい」または、「防食」と呼びます。

防せい油による防せいまたは防食には、主に3つの方法があります。

 

その1.腐食要因の遮断

防せい油は、主に基油と添加剤で構成されています。

 

ここで問題です。

Q1.空気や水などに触れないようにするためだけならば、ただの基油(鉱物油などのいわゆる普通の油)を塗るだけでも良いと思いませんか??

A.それではダメなんです。

防せい油に使われている基油は、金属との親和力低いことと、酸素の金属表面への吸着阻止能力がないため防せい力がありません。つまり、基油だけでは例え粘度が高く金属表面に残っても、時間とともにさびてしまうのです。

 

しかし、添加剤(腐食抑制剤)には金属表面に吸着し、金属と基油の仲立ちをする機能があります。

それにより、防せい油は、防せい被膜を形成し、さびや腐食の原因となる水やガスなどから金属を守るのです。

 

基油の粘度が高い方が、防せい油が作る被膜は厚く、防せい力が上がります。

ただ、厚い被膜は除去に手間がかかるため、使用目的や防せい期間にあったものを選択すると良いでしょう。

 

 

その2.水置換作用

いくら被膜を作っても、金属の表面に水分が残ったままで被膜を作っては、意味がありません。

しかし、金属を加工する際に水溶性加工油剤を使うことも多く、また、結露などにより、目に見えない水分も付着しているため、金属の表面から水分を完全に除去するということはとても難しいことなのです。

そこで、金属表面についた水滴の下に潜り込み、防せい被膜を形成する、「水置換」という機能を持った防せい油があります。

これにより、水分の除去と防せい処理を一度に行うことができます。

 その3.腐食性物質の不活性化

金属表面に汚れとして残っている水や酸、無機塩などを取り込み、金属に影響を与えないように不活性化する機能を持った防せい油もあります。

簡単にいうと、汚れを防せい油に取り込んだり、結合することによって不活性化し、間接的にさびを防ぐ方法です。

 

事例として・・・

指紋や汗の成分は食塩などを含んでおり、さびや腐食の原因になります。

しかし、加工の際、洗浄過程で多く使われている石油系溶剤(洗浄剤)では落とすことは出来ず、指紋や汗の成分を溶解出来るアルコールや水溶性溶剤で洗浄しなくてはなりません。

しかし、加工工程を増やすことや溶剤の変更はなかなか困難なこと。

「指紋除去形」という防せい油を使えば、指紋を取り込み水滴化して除去(置換)し、同時に防せい被膜を形成します。

錆止め油に金属を浸漬することで、水が下に落ちていきます。

 

防せい油を使う上でのワンポイント

 

さびや腐食の原因は金属表面に残った水や汚れ。

これらを残したまま被膜をつけても意味がありません。表面に何もない状態で防錆処理をするのが理想です。

その意味で、洗浄や乾燥などの前処理で如何に清浄度を上げるかが重要です。

 

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