水と水溶性切削油剤
さてさて、今回のテーマは「水と水溶性切削油剤」
ちなみに、水溶性切削油剤については、工業用潤滑油の回のコラムを見てくださいね♪
1.水と水溶性切削油剤の関係
水と水溶性切削油剤との関係はとても密接です。水溶性切削油剤を作る際も使用する際にも水が関わってきます。
水溶性切削油剤は水に希釈して使用するため10倍で使用する場合、90%は希釈水であり、水に成分が溶けているものや、水の中に油の粒子を分散して混ざった状態(乳化)のものなどがありますが、どちらにしても、水の性質によって油剤の性質にも大きく影響してくるのです。
では、水の性質ってなんでしょうか?
2.水の性質
水道水や井水とは純粋な水(H2O)ではないんです。
というと、おかしな表現になりますが、水の中にはさまざまな成分が含まれています。また、各成分の含有量は、地域や季節、水の種類などによって異なります。
「なんちゃらのなんとか水」と「どこやらのどこどこ水」は味が違う・・・なんて思うのは錯覚じゃないんですね。
その中でも、カルシウム,マグネシウムやシリカなどは油剤の性質に大きく関わってくるのです。
3.水の硬度
水の硬度って知っていますか?
健康ブームの最近、硬度って言葉自体は聞いたことはあるとは思います。
しかし、詳しく説明しろと言われると・・・ですよね。
水には、さまざまな不純物が含まれており、その中のミネラル類の中のカルシウムとマグネシウムの合計含有量の指標が硬度です。簡単に言えば、カルシウムとマグネシウムが多く含まれている水が「硬水」、少ないものを「軟水」と呼びます。
この硬水、軟水の分類は地域ごと、国ごとに違いがあります。
ちなみに、アメリカ硬度ではカルシウムイオンとマグネシウムイオンの濃度を炭酸カルシウム(CaCO3)に換算したものを硬度としており、mg/L又はppmで表記されます。
硬度[mg/l]=(カルシウム量[mg/l]×2.5)+(マグネシウム量[mg/l]×4.1)
ドイツ硬度(戦前使用)1dh=17.8ppm アメリカ硬度(戦後使用)の関係です。
◆硬度の分類WHO(世界保健機構)の基準
軟水 0~60mg/L
中程度の軟水(中硬水) 61以上~120mg/L
硬水 121以上~180mg/L
非常な硬水 181mg/L以上
・・・難しい話になりました。
なぜ、こんな話をしたかといいますと、今回は、この硬度と水溶性切削油剤の関係に照準を当てたいと思います。
4.水溶性切削油剤と水の硬度
水溶性切削油剤を希釈する水は、水道水や工業用水、井水など、あらゆる種類の水が使用される場合があります。その水の性質によって、さまざまなトラブルが起こりうるため、水質をしっかりと理解することが大切です。
では、硬水と軟水どちらが良いのでしょうか?
実は硬度が高すぎても、低すぎてもトラブルが起こる可能性があるのです。
【考えられるトラブル】
◆硬水の場合
・白濁
・浮上物 など
◆軟水の場合
・発泡
・手荒れ など
5. 水が違うとこんなに変わるのです。
実験:
同じソリュブルタイプの原液を硬度の違う一定量の水に同一濃度で希釈しました。
総硬度 50ppm 150ppm 300ppm
(mg/L) 50mg/L 150mg/L 300mg/L
ドイツ硬度 2.8dh 8.4dh 16.9dh
希釈後、色にかなりの差が見られました。
硬度が高い方が白濁しているのがよくわかります。
水溶性切削油剤の性質には硬度だけではなく、他の様々な成分も関係してきますが、
それはまた今度・・・
皆さんも使用している水の性質を知ることがとても大切です。
今月のおすすめ油剤は・・・
水溶性研削・切削油剤